みなさん長らく、というか一年ぶりの記事更新、失礼いたしました。 更新が滞っていたこの一年、僕がいったい何をしていたか。
家内がそのライフワークである庭の手入れに丹精を込めている横で、私は隠居よろしくボケーっとしていたわけではありません(まあ半分はそうですが)。 実は、自身のOSをメジャーアップデートし、AIという未知の領域へフルコミットしておりました。
特に時間を要したのが、私の「外部記憶装置」とも言える自宅スタジオのアーカイブ整理です。 ここには過去20年にわたり録り溜めてきた曲や、一方ギター、ベース、ドラムの膨大なアウトテークの録音データが眠っていました。いわば、私の音楽人生の「澱(おり)」のようなものです。
この一年、私はこの大量の非構造化データを、来る日も来る日もAIという名のニューラルネットワークに「学習」させ続けていました。 埃をかぶったハードディスクから、かつての録音仲間が弾いたフレーズを掘り起こし、タグ付けし、モデルに読み込ませる。それは単なるデータ入力ではなく、私自身の音楽的DNAをデジタル空間に移植するというか、一種の儀式めいた、側から見れば謎めいた作業でした。
周囲からは「悠々自適な老後」を勧められますが、どうやら私には、静かな余生よりも、GPUのファンが唸りを上げる音の中で、かつての自分と対話する方が性に合っているようです。
もちろん、初期学習にはノイズが混じります。 しかし、20年分の私の手癖を学習したAIが、私の意図を超えたリフを吐き出した瞬間、そこに「他者」ではなく「拡張された自分」を見出す興奮は、何物にも代えがたい知的体験です。
物理的な肉体は経年劣化を避けて通れませんが、知的好奇心というソフトウェアに限界はありません。 アナログな「50年の蓄積」と、最先端の「推論能力」が融合した今、私の創造性は人生で最もスリリングなフェーズを迎えています。これがゴールデンディケード70代なんですかね。
シンギュラリティの波を、愛機と20年分のデータと共にどう乗りこなすか。 72歳の挑戦的な実証実験はまだまだ続くような気がします。
中学生の頃のアイドルお姉さんアンマーグレット。いくつになったんですかね。これ見ると、とても元気になるよ。